エッセイ小冊子『ふみくら』です。
21号は2012年発行、12作品、53ページ。
22号は2013年発行、13作品、51ページ。
23号は2014年発行、11作品、50ページです。
今回は田口京子さんの『お弁当のある風景』(23号収録)の感想を書きます。
舞台は昭和20年代の房総のお祭りの日の風景。私は昭和44年の生まれなので、自分が生まれるずっと前の話しですが、古き良き時代を感じさせてくれて、なぜか懐かしいような気持ちになります。実話なのでリアルですし、普通の一般的な人々がどのような感じで暮らしていたのか歴史的な意味合いもあります。それも子供の目線なので貴重です。
食糧難の時代、「お腹がすいたら食べなさい」と持たせてくれた母のおにぎりの優しさ、どんなものでも分け合うんだという、妹や弟へ申し訳なさを感じる気遣い等、随所に思いやりの心を感じさせる物語です。淡々としていますが、現代人が忘れかけているような大切なものを思い出させてくれるような作品でした。