2005年7月1日金曜日

ふみくら

四街道を中心に活動している「さーくる・ふみくら」さんの本を作っています。

会員の作品(エッセイや詩や俳句等いろいろ)を掲載していて、だいたい年に1回発行しています。

写真に写っている5冊は、右のオレンジのものから10号、11号、12号、13号、14号となっています。
10号は1999年の発行で19作品と解説が1、付録に1号からの『ふみくら』掲載作品リストが載っていて、全104ページです。
11号は翌2000年の発行、13作品、全60ページ。
12号は1年あいて2002年発行、11作品、61ページ。
13号は2004年発行、13作品、76ページ。
14号は今年2005年の発行、14作品、85ページ。

せっかくなので、少し偉そうな感じになってしまいますが、1作品を選んで感想を書きたいと思います。
色々悩みましたが、14号に収録されている松田育子さんの『星の流れる夜』にしました。この作品が一番好きだったかです。
冒頭から40年以上前の作者の子供時代の話しが出てきて、それがとにかく美しい。紀伊半島南端の潮岬での思い出話しですが、それがとても素敵です。海が舞台だからか、光あふれる夏だからか、登場するトンボやイソギンチャクの生命力を感じるのか、憧憬のようなものすら感じます。
『ふみくら』のメンバーは私より年輩の方が多いので、そういう私が知らない時代の古き良き風景を記してくれるものはとても有り難い。昔がどんなだったのか、映画等で見かけることはあっても、あくまで作り物。いや、映像ではなく文章しかないからこそ、作り物か本物かを越えた想像の世界で素晴らしく組み立てられるのだと思います。この『星の流れる夜』もどのような夜空だったのかは想像することしかできないのに、まるで見えているような気になります。多分、自分で勝手に脚色して、実際以上に素晴らしい風景になってしまっているのだと思うけれど、文章にはそのような力があって、それが感動とか憧憬につながっていくのだと思いました。
何度も何度も読み返し、そのたびに高揚感がある私には魅力的な作品なのです。

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